雑談その３

ホラー系サウンドトラック・テーマ 20選

子供の頃の話

これは小学生の頃の話。

クラスの数人と一緒に音楽準備室に行って何かを調べに行くということをした。何の授業だったのかは思い出せない。
クラスの他の組合せも別な教室に行っていたはずで、俺のグループは音楽室と音楽準備室だった。
音楽室に入るまでは、何だかいつもの授業と違って静かな雰囲気(他のクラスでは教室で授業してた)だったので少し浮わついていた。
音楽室を見て回り、ついでに準備室を見ることになった。
音楽室とは扉ひとつで繋がってるので、音楽室から隣の扉を開けて中に入る。
単に楽器が並んでいるだけで、敢えて言うなら物置小屋としか思えない状態だった。多分どこの学校でもそうだろう。
これまた何かあるわけでもなく、俺は準備室を出ようとして振りかえると

リーンリーンリーン

と、鈴か、ベルみたいな音がした。
かすかな音じゃなくハッキリと聴こえた。
明らかに準備室で鳴っていた。

準備室には俺ともう一人が立ってたが、他のヤツは音楽室側にいた。
音楽室側の連中が
「何？何の音？」
と聞いてきたが、こっちの二人には何が何やらで、
「チャイムじゃないのか」
「チャイムには早すぎる」
「そもそもチャイムの音じゃない」
とか喋る声。
周りを見てみるが、楽器に触れてもいないし、ぶつかってもいない。地震も起きてない。ふと、棚の上にハンドベルが並んでいた。
だがハンドベルは通常逆さまに立てられているから、音が鳴るハズがない。
つまりは、鳴るはずのない音が聴こえた。
それも隣の音楽室にいた奴等にも聴こえてた。幻聴じゃない。

誰かが悲鳴を上げて逃げ出したのを合図にみんな教室に走った。

そのあとはしばらく騒ぎになった。
音楽室のハンドベルが逆さまなのに鳴ったことになってた。
学級新聞にもネタにされていた
音楽室の勝手に鳴り響くハンドベル。みたいな感じで七不思議のひとつになったわけだ。

今にして思えばイタズラの可能性はゼロじゃない。例えば準備室の外で何かを鳴らした、とか。

少なくともこのあと『ベルの音がずっと聞こえる』みたいな怪談でありがちな出来事は無かった。
幽霊が見えることもなかった。
そもそも、それまで音楽室に幽霊が出るなんて話もなかった。
そもそも、何の音だったのかすらわからない。

結局あれはなんだったのか、オチもつかない謎の残る不可思議な怪談でございます。
誰か似たことを経験したとかあれば教えてほしいくらいである。

稲川淳二 恐怖の現場 最終章 禁断の地 永久に、永遠に vol.1